学生には社会人経験者が2人いて、1人はある国のプロのグラフィックデザイナーだったのを自国の小さな枠では収まることができない!ということでその国で年に1人(!)の奨学生として日本にやってきて、またデザインを学んでいるらしいです(具体的に何を研究しているかは英語が分からず、理解できませんでした。しかも、確か聞いたのは2回目だけど…)
もう一人は東京の大学でドイツ語を勉強した後、外国に1年留学して帰ってきて、武蔵美の通信課程に行きながら、家具の制作会社で4年間働いて、この秋からうちの大学でデザインを学んでいるそうです。
2人ともなんか自由で夢とチャレンジがあっていいなあと思いました。
僕はM1なのでそろそろ就活の時期で、いろんな不安が頭の中を渦巻いているので、なんだか少し勇気付けられた気分になりました。
で、佐藤雅彦とポール・ランドについて。
佐藤雅彦については僕も好きで実は紹介された“佐藤雅彦全仕事”も既に持っていました。
今、ふとWikipediaで検索してみると職業としてメディアクリエーター(表現者)と教授となっていました。“メディアクリエーター”って初めて聞きました…
大学は教育学部で卒業後入った電通で初め営業職だったところから転局試験を経て、クリエイティブ局に異動し、そこから初めてデザインとかCMを本格的にやり始めたそうです。つまりデザインは独学です。
ではいったいどのような方法論でCMやグラフィックをデザインしたのか。
それは“ルール+トーン”というものだそうです。
ルールというのは良いデザインやCMを作るための法則のようなもので彼の場合、CMを作ることから始めているので、世界の優れたCM集の中から自分が好きだと思うものを抜粋し、それらに共通する要素を見つけ出し、それを“ルール”として自分の作品にも適用したのだそうです。
トーンというのはそのルールをもとに作品を成立させる個性やディテールといえるものです。例えルールを知っているからといって、そのルールをもとにすれば誰でもが佐藤雅彦のようないい感じの作品にできるわけではなくて、そこには佐藤雅彦のトーンがあるからこそなんですね。
その後、今度は既にあるルールではなく、自分なりのルール、新しい考え方を生むべく、電通をやめて個人で活動するようになったそうです。
ルールとトーン。
デザイナーはまず、ルールを知らなければならない。そして、それに自分のトーンを加えていく、もしくはあえてそのルールを破っていく、ということで良い作品・デザインが生まれる。
という山崎先生の意見に僕も全面的に賛成です。
アーティストにおいても基本的にはそうだと思います。
研究においては基本です。
でも、たとえそんな風にルールとかトーンっていう方法論を持っていたとしても、30歳でほとんど経験したことのない分野であんな普通じゃない作品を堂々と提案するというのはすごいと思います。むしろ、そういう思い切りのよさというか勇気を見習いたいと思いました。
ポール・ランド。
“What is design ?”
“Design is the method of putting form and content together”
ポール・ランドはデザインとは形と中身を両立させる手法であるという風に定義してしています(複合的な定義があり、一つの定義で言い表すことはできないとも言っていますが)。
もしくは、形と中身の関係を作ることがデザインであると。
そうすると、デザイナーは形と中身の関係のルールについて知っていないと駄目ということですね。
与えたいイメージを想起させるカタチとか伝えたいメッセージを表すカタチとか機能を示すカタチとかということでしょうか。
それから、ポール・ランドは良いデザインはSimpleであるといっている。
それが意味するところは山崎先生曰く、ContentとFormが限りなく等しいということではないかということです。
逆に悪いデザインは表面的なもの、余分なもの、もっと言うと違うものになっていることだそうです。
難しいですね。
ContentとFormが限りなく等しい。
こういうことを真面目に考えながら、それを作品で実現もしているというのはすごいことだと思います。(作品で実現しているかどうかは僕は検証できていませんが。リチャード・サッパーがそのようなことを言っていたようです。)
抽象的なことから具体的なことまで。デザインや表現はどのレベルで感じればいいか時々分からなくなることがあります。
長くなってきたので、あとは箇条書きで気になったフレーズを。
- シンプル(抽象化)とコンテクスト(通俗性)の入り具合のバランスをコントロールすることが大事
- Content(中身)には2種類(中心的なものとその周りのもの)ある
- IBMのロゴのストライプはでかい会社として威張るのではなく、半分しか目立たないような会社(インフラとかを扱う)であるべきというメッセージなのではないか。
- “IBM”のロゴはプロダクトデザインの一部だ
- 桂離宮・アフリカの彫刻・ピサの斜塔→コントラストとリズム
- 斜めという要素はアテンションの機能を持つ
- ArtにはSuperiorとActivityという2つの意味がある(by Alex)
“From Lascaux to Brooklyn(Paul Rand)”
オリジナルの方法論か…うーん…
1 件のコメント:
山下しんです。
フォルムとコンテンツについて思うこと。
多分その一つの形が環境や行為に溶けてしまうような形なんじゃないでしょうか。
その例がF澤N人じゃないかと(賛否両論ありそうですが)。
ということで、勝手にリンク貼りました。
またお暇な時にのぞいて感想聞かせてね。
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